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海鳴り
第5章 うねり
ピンポーン……
ドアのチャイムが鳴り、誰が来たのかはもうわかっていたが、律子はインターホンの受話器を取った。
「はい」
「律子先生、 おはよー!」
「おはよう武くん、ちょっと待ってね」
「うんっ」
バッグを手に取りパンプスを履き、笑顔を作って そっとドアを開ける。
「おはよう」
「先生おはよー」
「おはようございまーす」
武と翼が満面の笑みで律子を待っていた。
「今日は二人なの?」
「うんっ…ね、翼くんっ」
「うんっ、みんな先に行っちゃったね、あはは…」
武に目配せをしながら愉快そうに笑う翼は、武と同じ丸刈りで背が少し高い。
やんちゃな二人はとても仲が良かった。
9月も半ばを過ぎ、律子はようやく新しい生活に慣れ始め忙しく駆けずり回っていた。
今朝も登校途中の子供達の声があちこちから聞こえてくる。
律子はいつものようにドアの前で思い切り息を吸い込んだ。
澄みきった高い空を、トンビが羽を広げ風に乗って緩やかに弧を描く。
海の匂いを胸いっぱいに吸い込んでゆっくりと息を吐き出すと、それを毎朝見ている明るい笑顔の二人と目が合った。
ドアのチャイムが鳴り、誰が来たのかはもうわかっていたが、律子はインターホンの受話器を取った。
「はい」
「律子先生、 おはよー!」
「おはよう武くん、ちょっと待ってね」
「うんっ」
バッグを手に取りパンプスを履き、笑顔を作って そっとドアを開ける。
「おはよう」
「先生おはよー」
「おはようございまーす」
武と翼が満面の笑みで律子を待っていた。
「今日は二人なの?」
「うんっ…ね、翼くんっ」
「うんっ、みんな先に行っちゃったね、あはは…」
武に目配せをしながら愉快そうに笑う翼は、武と同じ丸刈りで背が少し高い。
やんちゃな二人はとても仲が良かった。
9月も半ばを過ぎ、律子はようやく新しい生活に慣れ始め忙しく駆けずり回っていた。
今朝も登校途中の子供達の声があちこちから聞こえてくる。
律子はいつものようにドアの前で思い切り息を吸い込んだ。
澄みきった高い空を、トンビが羽を広げ風に乗って緩やかに弧を描く。
海の匂いを胸いっぱいに吸い込んでゆっくりと息を吐き出すと、それを毎朝見ている明るい笑顔の二人と目が合った。