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海鳴り
第5章 うねり
「『くじらぐも』だよ」

「上手だった?」


翼が聞いた。


「うんっ、…でもね、くじらは空にはいねぇ、海にいるもんだ、って言ってた」

「………」


ぽかんとしたみんなをよそに武の自慢話は続いた。


「父ちゃんは漁師だからいつかくじらが釣れるよ」

「すごい」
「見てみたい」

「僕のお父さんも漁師だから釣れるよ」

翼が言った。


「いいなー」
「くじらに乗れるかな」
「乗ってみたいな」


可愛い会話に微笑み、律子が声をかける。


「ほら、歩くわよ、みんなで遅刻しちゃうわ」

「はーい」


元気な返事と共に歩き出した子供達の中から、誰かが一段と大きな声を上げた。


「『四じかんめのことです』」


みんなの声がそれに続く。


「『一ねん二くみのこどもたちが
たいそうをしていると
空に大きなくじらがあらわれました』」


律子も一緒に声を出した。


「『まっしろなくものくじらです』」


そらで覚えてしまった大好きな話を、みんなで声を揃え、楽しげに、高い空を見上げながら暗唱する。


「『一、二、三、四
くじらもたいそうをはじめました』」

 



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