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桜 ~あなたに見られたくて~
第4章 夜店の男

スーパーの
ガードマンのおじさんに捕まったせいで
私が駐輪場に戻ると夕闇が近づいていました。

「もう!もっと遠くまで
自転車で行きたかったのにぃ」

悔やんでも時間は戻って来ません

仕方なく少しだけ遠回りして
帰路に着くことにしました。

途中、ふと気づくと
いつもは閑散としている神社の境内に
煌々と明かりが灯り
家族連れで賑わっていました。

「あら?縁日かしら?」

私の予感は的中しました。

境内には射的や金魚すくい、
ベビーカステラにたこ焼きと
色んな屋台が所狭しと並んでいます。

「へえ~、懐かしいわ」

私は自転車を境内の隅っこに停めて
屋台の夜店を見て回ることにしました。
日が落ちると、まだまだ肌寒く
ノーパンにノーブラだと辛いものがありましたけど
夜店を見て回るのが楽しくて
寒さなんてふっとんでいました。

どの屋台もけっこう人気で
人が溢れていましたけれど
ヨーヨーすくいの屋台だけ閑散としています

「おにいさん、あまり人気がないみたいね」

私は店番の20歳ぐらいの若いおにいさんに
声をかけてみました。

「最近は風船なんて
100均でいくらでも売ってるしね
子供たちも興味がないんですよ」

どう?安くするから遊んでいかない?

優しそうなおにいさんだったので
半額で遊ばせてもらうことにしました。

やってみると以外と難しく
全然すくえませんでした。




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