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インセスト・タブー
第3章 主たる器の人は心の鎧にキスをする
「…お耳汚し大変失礼致しました。では」
あたしの言葉に一瞬眉をひそめたが、ゴーシュは素直に詫びた。

そのままくるりと向きを変え、少女から新たに差し出された剣を引ったくるように受け取りながら、足早に去っていった。

「ありがとうございました。私も失礼致します、“エオレ様”」
少女はそう言い、主人を追った。あたしは最後の言葉に気をとられ、ご苦労様、と返すのを忘れていた。


なぜ名を知っていたのかしら…?

少女の背中を眺めながら考えるが、誰かから聞いたのだろう、とやがて結論づけてあたしもその場をあとにした。
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