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インセスト・タブー
第8章 心のすぐ横を通りすぎていく
殿下の安静が解かれるまで、かなりの時間を要した。殿下はその間、身の安全のためにも自室に籠り休養されていたが、今はもう、身体を思いきり動かしても問題ないほどに回復なさった。
空を見上げる。先日の血生臭い事件が嘘のように、澄み切った空だった。晴れ渡る大空の下、あたしはオパリンスキ邸への道のりを歩いていた。
久々に殿下と打ち合うのだ。実は最近の剣術勝負は面白いことになっていた。殿下は、病弱とはいえ筋力がつき、それまで体力面で優位だったあたしはその差を埋められ、時折負けるようになっていた。
オパリンスキ邸、いつもの場所。あたしの少し後にいらっしゃった殿下は、顔色も良く、予後は良好のようだ。
殿下と剣を交わらせる。その力強さが、体調が万全であることを裏付けていた。そして以前と変わらない殿下の猛攻が、大丈夫だ、遠慮はいらぬから全力で来い、と仰せのように感じられた。
あたしも“守り”に徹するばかりではなく、素早く“攻め”に転換する。そうしてわずかな隙を見つけて狙った、渾身の一振り。だがそれは予想されたもののように簡単に避けられ、いなされた。
…そして、殿下の剣の切っ先が、あたしに向けられていた。
「余の勝ちだな。エオレ」
空を見上げる。先日の血生臭い事件が嘘のように、澄み切った空だった。晴れ渡る大空の下、あたしはオパリンスキ邸への道のりを歩いていた。
久々に殿下と打ち合うのだ。実は最近の剣術勝負は面白いことになっていた。殿下は、病弱とはいえ筋力がつき、それまで体力面で優位だったあたしはその差を埋められ、時折負けるようになっていた。
オパリンスキ邸、いつもの場所。あたしの少し後にいらっしゃった殿下は、顔色も良く、予後は良好のようだ。
殿下と剣を交わらせる。その力強さが、体調が万全であることを裏付けていた。そして以前と変わらない殿下の猛攻が、大丈夫だ、遠慮はいらぬから全力で来い、と仰せのように感じられた。
あたしも“守り”に徹するばかりではなく、素早く“攻め”に転換する。そうしてわずかな隙を見つけて狙った、渾身の一振り。だがそれは予想されたもののように簡単に避けられ、いなされた。
…そして、殿下の剣の切っ先が、あたしに向けられていた。
「余の勝ちだな。エオレ」