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インセスト・タブー
第3章 主たる器の人は心の鎧にキスをする
怒りの矛先を目で追うと、使用人らしき少女がいた。数本の剣を抱え、小走りで青年のもとへ駆け寄る。
「剣術を競うのにこんな剣では相手に失礼だろう、なぜこんなものを渡した!今私が気づかねば、危うく相手との仲をこじらせるところだった!!」
ゴーシュは鼻息を荒げながら剣をつき出す。
「申し訳ございません。ですが昨日、この剣をお使いになると仰っていたので」
少女は冷静に言った。
「それは、当初は王族の女性がお相手と聞いていたからだ!相手の武器に合わせねば卑怯だからな!相手が騎士ならその剣はむしろ馬鹿にしていると誤解させるっ!!」
「申し訳ございません」
「…お前、相手が変更になったのを知らなかったな?先刻姿が見えなかったがどこへ行っ」
「こんにちは。どうされたのです?」
あたしが割って入る。ゴーシュはイライラした様子でこちらに目を向けたが、すぐに表情をすべて消した。
「ああ…これはどうも。何でもありません」
「そうですか。王宮ではもう少し声を落とされた方がよいかもしれませんね」
あたしからこう言われるのをゴーシュが嫌うことは承知していたが、なるべく穏やかにたしなめる。
「剣術を競うのにこんな剣では相手に失礼だろう、なぜこんなものを渡した!今私が気づかねば、危うく相手との仲をこじらせるところだった!!」
ゴーシュは鼻息を荒げながら剣をつき出す。
「申し訳ございません。ですが昨日、この剣をお使いになると仰っていたので」
少女は冷静に言った。
「それは、当初は王族の女性がお相手と聞いていたからだ!相手の武器に合わせねば卑怯だからな!相手が騎士ならその剣はむしろ馬鹿にしていると誤解させるっ!!」
「申し訳ございません」
「…お前、相手が変更になったのを知らなかったな?先刻姿が見えなかったがどこへ行っ」
「こんにちは。どうされたのです?」
あたしが割って入る。ゴーシュはイライラした様子でこちらに目を向けたが、すぐに表情をすべて消した。
「ああ…これはどうも。何でもありません」
「そうですか。王宮ではもう少し声を落とされた方がよいかもしれませんね」
あたしからこう言われるのをゴーシュが嫌うことは承知していたが、なるべく穏やかにたしなめる。