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混沌の館
第11章 愛の因子
私は、車を走らせながら後悔の念を募らせていた。
人間が二人いる。 それが男でも女でも良い。
二人が互いに愛そうとしても、二人の間に愛し合える因子がなければ絶対に愛する事はできない。
愛情というものは、生まれた時から確定的に規定されているものだ。
自分の子供ですら愛する事の出来ない人だっている。
そんな人はやはり初めから二人の間に愛し合う共通の因子がなかったということだ。
その場合、いくら愛そうと努力しても結局は自分の努力は報いられない。
愛せないという関係がはっきり分かった以上、それを隠せば隠すほど両方が辛くなるだけだ。
昔読んだ事のある本の一節を思い出していた。
結局、私と久美の間には『愛の因子』がなかったのだろう。愛し合える条件が欠けていたという事だ。それはずいぶん前に気付いていた。お互いに。でも私はその事実から目を逸らし続けてきた。この日の無様な顛末は、防げたはずなのに・・・
「いつ振り込んでくれますか?」
久美からの口座を知らせるメールを読んで苦笑した。
サイトには『無視設定』という特定の相手との連絡を遮断できる機能がある。
私は、久美を『無視設定』のリストに登録した。
人間が二人いる。 それが男でも女でも良い。
二人が互いに愛そうとしても、二人の間に愛し合える因子がなければ絶対に愛する事はできない。
愛情というものは、生まれた時から確定的に規定されているものだ。
自分の子供ですら愛する事の出来ない人だっている。
そんな人はやはり初めから二人の間に愛し合う共通の因子がなかったということだ。
その場合、いくら愛そうと努力しても結局は自分の努力は報いられない。
愛せないという関係がはっきり分かった以上、それを隠せば隠すほど両方が辛くなるだけだ。
昔読んだ事のある本の一節を思い出していた。
結局、私と久美の間には『愛の因子』がなかったのだろう。愛し合える条件が欠けていたという事だ。それはずいぶん前に気付いていた。お互いに。でも私はその事実から目を逸らし続けてきた。この日の無様な顛末は、防げたはずなのに・・・
「いつ振り込んでくれますか?」
久美からの口座を知らせるメールを読んで苦笑した。
サイトには『無視設定』という特定の相手との連絡を遮断できる機能がある。
私は、久美を『無視設定』のリストに登録した。