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混沌の館
第16章 遠距離恋愛
 実際に出会いデートして、私は益々千夏のことが好きになった。

 千夏と初めてデートした翌週、私たちは初めて電話で話した。彼女と話していると楽しい。あっという間に1時間、2時間と過ぎる事が当たり前だった。二人の間の現実の距離は遠かったが、心の距離はゼロだった。


 子供が夏休みの間は、千夏は家を空けられない。私も帰省中は電話が出来ず、メールだけが千夏との関係を繋ぐ手段だった。


 どれほど長く感じただろうか?ようやく夏休みも終わろうという頃、私たちは次のデートの予定をたてた。

 9月の初旬の平日、お互いの都合を合わせ、また東京で待ち合わせる事にした。前回と同様に、千夏とは5時間しか一緒に居られない。時間を有効に使う為に、私はプランを練った。

 もうずっと昔に忘れtしまっていたが、私はデートのプランを立てるのがこんなにも楽しいものかと、改めて思い知った。


 久美と旅行に行った時も、あれこれと計画を練ったが、その時私は不安の中にいた。モヤモヤとした気持ちに、楽しいと感じられなかった。だが今、私は今にも踊りだしそうな気分で計画を立てている。

 インターネットで評判の良いお店を探し、そこまでのルートを確認し、移動を除いて何時間千夏と過ごせるか、そればかりを考えていた。勿論、それは下心あってのことだが。


 前回のデートで、私と千夏は軽くキスを交わすまで関係が進んだ。

 私自身、一回目のデートでそこまで進展できるとは思っていなかった。お互い好きという気持ちはあるが、千夏には不倫願望はないと思われた。


 電話やメールでそれと無く確認したのだが、千夏は夫とも夫婦生活が続いているという事だった。美咲やキャサリンのようなセックスレスとは違う。それに、何よりも幸せそうな家庭の様子が感じとれた。


 わざわざ危険を冒して私と一線を越えた関係を結ぶ必要はないだろう。





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