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混沌の館
第3章 電マを欲しがる人妻
 二人とも繋がったまま、放心状態で荒くなった息を整える。先程までの狂気から一転、静けさが時間を止めた様に私たちを包んでいた。


 避妊具の中には、信じられないくらいの大量の体液が溜まっていた。興奮の度合いが大きかった事が伺えた。



 気怠さに支配された身体は重たく、その場で寝入ってしまいたい気分だった。


 だが、帰らなければならない。
そこには、事務的に身支度を整える『他人の男女』がいた。

 お互いの目的を達成すれば、後は他人だ。この後味の悪さは割り切り独特のものだ。



 身支度を済ませると、「じゃあ、帰ろうか」とホテルを後にした。大した会話もないまま、待ち合わせ場所だった駐車場に着き、そこで美香を降ろした。



「今日はありがとうございました」


「こちらこそ、ありがとう、楽しかったよ」



 簡単な挨拶を交わすと、美香は自分の車に乗り込み、さっさと走り去ってしまった。





 その後、何度か「もう一度会いたい」というメールを美香に送ったが、返事が返ってくる事はなかった。

 掲示板にも美香の書き込みを見かける事もなかった。



 だが、美香との出会いは、その後の私の活動に大きく影響を及ぼしたのだった。





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