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混沌の館
第10章 美咲の夫
美咲との別れから3日ほど過ぎた深夜、携帯の着信が寝入りばなの私を襲った。こんな時間に?携帯を取って番号を確認すると、知らない番号だった。
チッ、舌打ちをし、無視することにしたのだが、一度鳴りやむと再び着信を知らせるメロディーが鳴った。
私は、苛立ちと怒りを込めて電話に出た。
「もしもし・・・」
「もしもし、狸さんの携帯でしょうか?」
私を下の名で呼んだ。知らない男性の声だった。
(何者なんだ?)
私が返事をしかねていると、その男性は驚くべき第2声を発した。
「狸さんですね。私、美咲の夫です」
それだけでも、十分に驚いたのに、次の一言は私をベッドから転げ落とした。
「美咲が自殺を図りました。あなたのせいですよ」
「あ・・あの、何のことでしょう?よく分かりませんが」
声が裏返りそうになるのを必死にごまかして、平静を装いながら答えたが、喉がからからに乾く気がした。
「しらばっくれるのですか?証拠はあるんです」
「今、○○の△△病院にいます。ちょっと来てもらえませんか?」
「なぜ、僕が行かなければならないんですか?あなたの奥さんでしょ」
「来たくなければ、こちらは構わないんですよ。後日、代理人を介して然るべき処置を取らせていただきますから」
チッ、舌打ちをし、無視することにしたのだが、一度鳴りやむと再び着信を知らせるメロディーが鳴った。
私は、苛立ちと怒りを込めて電話に出た。
「もしもし・・・」
「もしもし、狸さんの携帯でしょうか?」
私を下の名で呼んだ。知らない男性の声だった。
(何者なんだ?)
私が返事をしかねていると、その男性は驚くべき第2声を発した。
「狸さんですね。私、美咲の夫です」
それだけでも、十分に驚いたのに、次の一言は私をベッドから転げ落とした。
「美咲が自殺を図りました。あなたのせいですよ」
「あ・・あの、何のことでしょう?よく分かりませんが」
声が裏返りそうになるのを必死にごまかして、平静を装いながら答えたが、喉がからからに乾く気がした。
「しらばっくれるのですか?証拠はあるんです」
「今、○○の△△病院にいます。ちょっと来てもらえませんか?」
「なぜ、僕が行かなければならないんですか?あなたの奥さんでしょ」
「来たくなければ、こちらは構わないんですよ。後日、代理人を介して然るべき処置を取らせていただきますから」