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臭い手笛で出発進行
第2章 吹き口へのアプローチ

はにかんだ笑顔でホイッスルを咥えたまま、さゆりさんはゆっくりとスラックスのジッパーを下ろしていく。その隙間から覗いたのは、白地のショーツ。そんな姿でいるものだから、口元のホイッスルとさゆりさんの"真ん中"との間で、僕の視線は忙しく泳いでしまっていた。そのホイッスルを見ているうちに、僕の股間にも温かみと突っ張りが出て来る。言うまでもなく、僕は自分の肉棒をさゆりさんのホイッスルに重ね合わせていたのだ。

ピゥルルルルッ、ピッ!!

いきなりさゆりさんはあざとくホイッスルをひと吹きして、スラックスの隙間から覗くショーツをくいっと下した。アンダーヘアが殆ど綺麗に剃り払われた、女性の秘部がそこにあった。
そして、その段階でさゆりさんはホイッスルを唇からゆっくり抜き取った。吹き口からねばっと引いた臭そうな糸を、僕はもちろん見逃さず凝視していた。

「私のここと、私の笛。どっちが臭いか、今度ひろ君に確かめてほしいですっ」

にこっと微笑みかけるさゆりさんの秘部からも、よくよくみるとやはりねばっとした何かが見えている。興奮が隠せないらしい。この人は筋金入りの匂いフェチなのだろう。

「……う、うれしいですけど……さすがにここじゃ、ダメですよね」

「んふふっ、そうですね。まずは休みの日、私とお出かけした時にしましょっか」

「さゆりさんの、家とかじゃ……」

「だーめっ。相性ぴったりなフェチさん同士でも、段階を踏むのは必要なんですよ」

あわよくば、と思わず口を突いて出てしまった欲望はもちろんさゆりさんに止められた。やっぱりそこは僕が大人の言う事を聞かなければならない。

「ひろ君。ちょっと待っててくださいね」

はい、と返事をするのを見るや、さゆりさんはメモ帳を一枚切り取ってさっと何かを書き出した。

「ふう、書けた。これ、持っててください」

差し出された紙には、携帯の電話番号が書かれていた。

「ありがとうございます」

「どういたしましてっ。そろそろ次の駅に着くから、仕事に戻りますね」

そう言ってさゆりさんはもう一度だけ僕の方に微笑むと、何事もなかったかのようにショーツとスラックスを元のように直し、乗務員室に戻ってアナウンスやドアの扱いの準備を始めるのだった。そして僕の視線は、さゆりさんのホイッスルと貰ったメモの間をずっと行き来していた。
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