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想い人
第2章 私の想い人
透也の部屋にはもう何度も来てる。
広いリビングに対面式のキッチン。
奥に寝室がある。

リビングのソファーに座り、先程透也の掛けてくれた上着に包まる。

「ホットミルクでいい? 熱いから気をつけろよ?」

キッチンから出てきた透也が、テーブルの上に湯気の立つマグカップを置いてくれる。

マグカップに触れれば、寒さにかじかんだ手が温まっていく。
そっと口をつければ、身体の中に熱が戻る気がした。


自分用のマグカップを持って私の隣に座る透也。
ほんのりとコーヒーの香りがする。

「……寝れなくなっちゃわない?」

透也のマグカップを覗き込むようにして聞けば、透也はフッと笑う。

「そんなに濃くないから平気」

「……大人なんだね」

つい可愛くない言い方をしてしまう。

透也は気にする様子もなく、
「美空よりはね」
と言って笑った。

ズキッ
今はその言葉が痛い。

また涙がジワリと浮かんできて、それを隠すように私はまたホットミルクを口に含んだ。


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