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想い人
第4章 俺の想い人
「美空……」

やましいことなんかない。いつも通り…そう、堂々してればいい。
そう思うのに目が泳ぐ。明らかに動揺してる。


「また受付にいる……」

静かな美空の声に余計動揺する。
美空らしくない態度に心臓が嫌な音を立て始めた。


「いっ…今、蕾さんから話を……」

美空…頼むから俺の方を見て?

美空はじっと蕾さんを見ていた。
その静かな瞳からは気持ちが読み取れなくて不安になる。


「透也が好きなんですか?」
美空は静かに蕾さんに問いかける。

「美空、そういうんじゃなくて……」

「好きよ?」
俺の言葉を遮って発せられた蕾さんの言葉。


─────好き?

蕾さんが、俺を好き?


かぁぁぁぁぁっ
反射的に顔が赤くなる。

こんな美人に…しかも去年まで好きだった人が俺の事を好きだなんて言ったら、そりゃ当然で……。

「……っ‼︎ 」

ずっと蕾さんを見つめていた美空の視線は、俺に向けられていた。

悲しげな美空の視線とぶつかる。


「違っ…美空っ…」

─────ヤバイ。
こんな真っ赤い顔してたら誤解を深めるだけだ。

俺は慌てて顔を手で覆い隠した。

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