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ホモ痴漢に触られながらカルト映画を観る
第3章 ふたつの学び
 映画はクライマックスに入り、主人公は町の人たちからリンチに遭う。
 両おじさんはぼくの左右の乳首を舐めながら、パンツの中に毛深い手を突っ込んでいる。
 どちらの手が股間を弄び、どちらの指が肛門に侵入しているのか、スクリーンだけを見ているぼくにはわからない。
 喘ぎ身もだえさせられているせいで、多勢の男からリンチに遭ってる主人公の気持ちに感情移入出来た。
 やがて事件は解決し、主人公は恋人を残して町を去る。
 エンドマークが映し出され上映が終了すると、ぼくはズボンをたくしあげ、開襟シャツを羽織って「帰ります!」と立ち上がった。
 薄明りの中で場内を見渡すと、なんとあちらこちらで男同士の阿鼻叫喚の地獄図が展開しているではないか。
 席の後ろでは、全裸にされ手すりを握りながら肛門性交されている子もいた。
 後に知ったところでは、この映画館はその道では有名なハッテン場で、しかもその日は月に一回同好の“ハッテン途上”の方々が集まっての饗宴の日となっていたそうだ。
 帰宅する電車の中で、長年観たいと思っていた映画を観ることが出来た感慨と、その日の新たな学びに心を馳せていた。
 学びとは二つ。
 まず、男の乳首が性感帯であったこと、そして、ぼくの肉体の価値はどうやらカローラ1台分らしいということだ。
 
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