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リヴァイ兵長は選べない人
第5章 苛立ち
「私がお前に触れるのはこれが最後だ」
「エル…」

そう言うと荒々しく唇を重ねてきた。
厚みのある唇に大きく塞がれ、一方的にリヴァイの口腔を蹂躙する。
リヴァイは頭がついて来ず、目を見開いた状態でされるがままになっていた。
刹那、リヴァイの下唇に激痛が走った。
口の中に血の味が広がる…
エルヴィンは唇を離すと、自分が噛んだリヴァイの傷の部分を親指でなぞった。

「リヴァイ、お前は汚れている」

凍りついた蒼い瞳を逸らさず、顔をもう一度近づけて一層低い声で言った。

「汚れているんだよ」

ドンッとリヴァイを突き放すと、窓際にエルヴィンは戻って行った。
リヴァイは扉にもたれたまま、何も言えず動けないでいた。
―お前は汚れている…
エルヴィンから浴びせられた言葉が、まるで鳴り止まない鐘の様に頭に共鳴し続ける…
喉元が締め上げられ、焼け付いた様に苦しく、呼吸をする事すら忘れそうになる。
―俺は汚れている…



「お前にはうんざりした。私からの話は以上だ」
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