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ネイル
第3章 逃亡
そこにいたのは、真悠だった。
真悠…ちゃん?
真悠ちゃんだよね?久しぶりだね!
拓也くんこそ、男らしくなったわね。
大人の男性って感じがするわよ。
そ、そうかなぁ。
ほら、シャンとしなさい!
デレデレしないの。初恋相手の前でしょ?うふ…
俺は急いで手袋をした。
マニキュアがバレないように。
どうしたの?今日は。
真悠は俺が学生時代に告った初恋相手だった。
あの頃は、自分に自信がなくて返事も聞かずに諦めたっけなぁ。
隆一くんから連絡が来てね。
拓也くんがいなくなったって聞いて心配してきたのよ。
え?何で?俺なんて心配するの?
鈍いなぁ。君は。学生時代から。
私はずっと拓也くんが好きだったのよ。
拓也くんから告白されて嬉しかった。
え?ええー!
何だってぇ!?
私ずっと待ってたのに。
拓也くんはいつまでたってもデートとか誘ってくれないし。
私の返事すら聞いてくれないから、諦めていたのよ。
真悠ちゃんが俺を…?
知らなかった…
俺は心がときめいて心が熱くなった。
すると…指先が燃えるような熱くなった。
あ、あ、あち!あちち!
ごめん…ちょっとトイレ。
俺は急いでトイレに駆け込んで手袋を外して驚いた。
指先に塗られたマニキュアが燃えるような熱くなっていた。
な、な、何だこれは…
香織…香織か。
香織が嫉妬してるんだ。
間違いない。
俺たちはいつのまにか一緒にいるようになって相手の気持ちがわかるようになっていた。
今朝怒らせた上に浮気なんてしたらどうなるんだろうか。
マニキュアを塗る…これが私の条件よ。
それだけ?
あの時の事が頭を駆け巡った。
香織は初めからこのことを想定していたというのか?
だから今朝も会社にきて挨拶していたのかもしれない。
香織は俺なんかにもったいないくらい出来た女性だ。
真悠ちゃんは憧れの存在だ。
そんな彼女が俺のものになろうとしている。
俺はどうしたらいい?
今ここでどっちかを選べというのか?
コンコン…拓也くん?大丈夫?
ああ。大丈夫。
俺はトイレのドアを開けて真悠と出会した。
目が合って2人ともドキドキしていた。
すると、真悠はそぉ…と耳打ちするように…
2人してバックれちゃおうか?うふ…
え?…
この事がどういう意味を持っているのか俺には検討がついていた。
俺が到着するまでに隆一たちと、真悠ちゃんはボトルを開けていた。
ね?行きましょ?ホテル…
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