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ネイル
第4章 完了
ね?私の中、気持ちいい?
ああ、気持ちいいよ。
嬉しい!
真悠はそういうと再び前を向いて喘いでいる。
朝になった…
拓也くん、また会ってくれるわよね?
も、もちろんだよ。
私を見捨てないでね…
え…?
じゃあね〜!
真悠はそう言い残して走り去った。
週末だったし、自宅に戻る。
もしもし。香織?
俺は自宅に帰ると香織の家に電話していた。
はい?香織なんて人はうちはいませんよ。
え?お宅さまは?
梅子?え?おばあさん?
俺はキツネか狸に化かされたような気がしていた。
俺は迷ってたどり着いたあの山奥の家には香織はいなかった。
それどころか初めから存在していなかった。
梅子と名乗った女性はずっと昔からあの山奥の家で暮らしており
迷った人などが訪ねてきたら夕飯などをご馳走しているらしい。
修二の話しは本当だったのか…
え?じゃあ俺は誰と暮らして誰を抱いていたんだ?
まさか、婆さんを抱いていたのか?
考えただけで身震いがしてきた。
身震いして寒気が走ったのは、あのとき以来だ。
香織…いや、やっぱりあれは嘘やまやかしなんかじゃない。
香織は確かにいた。
間違い。間違いなく彼女は存在していたはずだ。
俺はもう一度、あの山奥の家に行ってみることにした。
俺は香織のことが気になって仕方なかった。
香織…香織…香織、ごめん。
しかし、いくら探しても家は見つからなかった。
おっかしいなぁ。この辺だったと思うんだけど。
香織はいなくなった…香織…
俺が冷たくあしらったせいだ。
俺の中には後悔の念しか残らない。
なんて事をしてしまったんだろう。
俺は最低だ…最低な男だ。
あんなにも出来た女性を。
俺が見捨てたようなものじゃないか。
…拓也…拓也…拓也…
頭の中にそう語りかけてきたような気がした。
…拓也、ありがとう…わたしなら大丈夫…
…いつも、あなたのそばに…
フッ…と風が乱れてかき消されて空に舞い上がり消えた…
何だったんだ。今のは
俺と香織の生活は短い間だったが終わった…
俺は帰途につく。
部屋に入り電気を付けて、身体をベッドに横たわる。
もう疲れ果てていた。
長く感じた1日だったなぁ。
それから数年が経過していた。
香織の事も忘れていた。記憶からも。
忘れるというよりも記憶から全て消されてリセットされたようだ。
真悠とはしばらく付き合っていた。
しかし、長続きしなかった。

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