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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第1章 一つめの恋花 春の夢 其の壱
 清七は女の細い手首を掴んで立ち上がらせると、そっと手を放す。心のどこかで、ずっと女の手のやわらかさを確かめていたいという想いがあった。
「行くぜ」
 声をかけてから一人で歩き出した清七の後ろを女は少し離れてついてくる。
 清七は少し進んでは、後ろから女がついてきていることを確かめながら、ゆっくりと歩いた。短い橋は、あっという間に渡り終える。
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