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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第9章 桜いかだ 其の弐 
 弥助は肩をすくめつつも、まだ頬を膨らませている娘に問うた。
「他に訊きてえことは?」
「あっ、そうそう一番肝心要のことを訊くのを忘れた。その女(ひと)、何て名前なの?」
 弥助は誇らしげに胸を心もち張って応えた。
「おれんっていうんだ」
「そう、良い名前ね。素敵な名前―、名前のように、蓮の花のように綺麗な女(ひと)?」
「うーん、そうだなァ。蓮の花っていうよりは、白木蓮かもしれねえ」
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