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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第10章 桜いかだ 其の参
「良かった、あたしなんかのために、弥助さんの身に何かあったら、美空ちゃんに何て詫びれば良いのか判らない」
おれんは涙を流して歓び、弥助の胸に顔を埋(うず)めた。おれんの口から美空の名前が出て、弥助は立ち上がった。
「おれんさん、今夜のところはもう帰るよ。これだけ派手にやり合えば、あの若旦那もしばらくは寄りつかねえだろう。だが、用心だけはして、きちんと戸締まりはするんだぜ」
弥助は笑顔で言うと、おれんを見つめた。