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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
歳は二十五。これは少々、読みが外れた。千汐がこれにも愕いた顔を見せると、童顔のため、いつも歳よりは若く見られるのだと、女が聞けば勿体ないと思うようなことを頬を膨らませて言う。
その拗ねた子どものような表情がおかしくて、―愛しかった。
鳴戸屋ほどの大店の跡取りが、こんな境遇の女―夜鷹を女房に迎えられるはずがない。たとえ曽太郞自身が望んでも、周囲がそれを許すはずもないのだ。
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