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バカな男に私は夢中
第5章 心惹
暗く狭い所に壁を背に、私は斎藤と対峙した。
「なにすんのよ。」
キッと睨みつけると斎藤が肩をすくめた。
「百合ちゃんがこっち見んからやん。」
「一度見たし、私には用はありませんから。」
私が顔を逸らすとため息をついた。
「これ、百合ちゃんのやろ?」
そういってポケットからメガネを取り出すと私に差し出す。
一瞥して、知りません、と答えた。
「嘘やろ。度入ってないし。」
「度が入ってないメガネかけてる人なんてごまんといます。私は今から用事があるの。どいてください。」
私が斎藤の脇をすり抜けようとすると、手首をつかみ引っ張られた。
「ちょっ....なにすんっ..」
ドンっ
壁に両手首を押し付けられ、驚いた。
「な..なな..なにすんのよ!離しなさいよ!」
私は焦って足で蹴りを入れる。
しかしそれを交わして、顔をぐいっと近づけてきた。
「..!」
目の前に顔が迫り、パッと顔を背けると、片手を離して顎を掴まれた。