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バカな男に私は夢中
第7章 素直
「べ、別に...嫌いじゃないから!」
ピタリと手が止まった。
「..え?」
「てゆうか...意識してないわけじゃ..ないし....」
そういって私は目を逸らした。
(な、なにいってんだ私は!)
心の中の私が頭を抱えてのた打ちまわる。
(誤解..誤解とかなきゃ..いや誤解じゃないけど..)
頭の中はパニックだった。
「そ、それだけ!ごめん引き止めて!あ、電車あと少しで来るから!私帰る!」
恥ずかしくなり、なにも言わない斎藤をほったらかして、その場から逃げた。
改札を出て、高鳴る胸を押さえる。
(由美子が変なこと言うから~!)
私はとりあえず由美子のせいにした。
「....やべー....」
後ろでは来た電車に構わず、ホームでしゃがみこんだ斎藤の姿があることは、勿論知らなかった。