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こころから
第20章 直人10
 もう死んでもいいと思った。
でも、もっともっと牧原部長を抱きたいので、
絶対に死にたくないとも思った。

「う、動きます」

 ぼくが言うと、牧原部長は目を閉じたまま小さく頷いたように見えた。
唇を震わせている牧原部長を見下ろしながら、ぼくはゆっくりと腰を引いていく。
牧原部長の中が、まるで出ていくのを引き留めようと絡みついてくる感覚。
そして腰を引くのをやめると、また奥まで深くぼくを受け入れてくれる。
彼女は息を止め、体中を緊張させている。
細い体から、意外なほど強い力で抱きついてくる。
眉間に皺を寄せ体を強張らせていて、少し苦しそうに見えた。

「あの、痛いですか?」

「ううん、違うの。でもその、すごくひさしぶり、だから……」
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