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こころから
第21章 久美子10
疲れているはずなのに、全然眠れない。
頭まで布団をかぶり、坂井くんに背中を向けたまま。
謝ったり許しを請うたりしていたけど、全部無視した。
無性に腹が立っていた。
全然私の気持ちをわかってくれていない。
ではどうすればよかったのか、と聞かれても知らない。
そんなの私の考えることじゃない。
とにかく私は、腹が立ったのだ。
明るいところですっぴんを見られるのは絶対の絶対に嫌なので、
朝になる前、あいつが起きる前に身支度を整えよう、と思う。
そして突然怖くなる。
朝になったら、布団に隠れていられない。
どんな顔して会えばいいんだろう。