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こころから
第21章 久美子10
「すみません、牧原部長。
どうせ怒られるなら、とことん怒られてもいいです。
だから、もう一回したいです。します」

 ものすごく身勝手なことを言われている。
悪いことに布団の中だったので、浴衣にはなんとか腕を通していただけ。
帯もしていない。
浴衣の下は無防備なまま。

 そんな恰好で、手首を押えられて身動きできなかった。
やっと目が開けられるようになって、
今の自分の恰好を改めて思い知らされて、血の気が引く思いだった。
すっぴんも恥ずかしい体も、
全部何もかも明るいところで見られていた。
力で負けている上に体重も乗せられて、腕はぴくりとも動かせない。
渾身の力を出して逃れようとしたけど全然だめで、
羞恥と屈辱で頭に血が登って、
大声を出そうと思いきり息を吸い込んだ。
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