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こころから
第21章 久美子10
「あ、ゴム。すみません、すぐ買ってきます」

 ベッドを飛び出しかけた坂井くんの腕を、がしっと掴んだ。
もう離したくないと思った。

「行かないで、そばにいて」

 坂井くんが顔を拭ってくれて、
自分が泣いているのだと気づいた。
坂井くんが愛しくて堪らなくなっていた。

「入れて……」

 私は思わずつぶやいていた。
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