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こころから
第22章 直人11
 少しの間のあと、ほんと? と聞いてくる。

「証拠に触ってみますか?」

 おどけて言うと、また少しの間を開け、
それから理解したらしい久美子さんが、
ばか、と小さくつぶやいた。

「今何時?」

「五時前です。まだ起きなくて大丈夫ですよ」

 ぼくの胸のところから小さく、
嬉しい、と聞こえてきた。

「もう少しだけ、このまま……」
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