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こころから
第26章 直人13
 名前を呼び続けていると、
久美子さんがうっすらと目を開けた。
ぼくと目が合うとかすかに笑顔を見せる。
硬直していた体が弛緩し、震えもおさまっていった。

「びっくりした。久美子さん、大丈夫?」

「私、どうなってた?」

 かすれた声。

「気を失ってた?」

「みたいだね。そんなによかった?」

 ぼくが言うと照れたように微笑み、また顔を隠してしまった。
ばか、と小さくつぶやく声が聞こえた。
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