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こころから
第28章 直人14
資料室は一階下の一番奥まった場所にある。
普段ほとんど人気のないところだ。
社内でふたりだけになれそうな、唯一の場所。
エレベーターを待つのがもどかしくて、階段を駆け下りた。
人気のないフロアはしんと静まりかえっている。
靴音が大きく響くようで、あまり早足では歩けなかった。
緊張しながら、資料室のドアを開ける。
グレーの濃淡だけの殺風景な部屋。
思った通り誰もいない。
そして思ってもみなかったが、久美子さんの姿もなかった。
いや違う。
いるはずだ、とわかった。
廊下を歩いているときから、そして資料室に入っても、
久美子さんの匂いがしている。
忘れられないフローラル系の甘い香り。
普段ほとんど人気のないところだ。
社内でふたりだけになれそうな、唯一の場所。
エレベーターを待つのがもどかしくて、階段を駆け下りた。
人気のないフロアはしんと静まりかえっている。
靴音が大きく響くようで、あまり早足では歩けなかった。
緊張しながら、資料室のドアを開ける。
グレーの濃淡だけの殺風景な部屋。
思った通り誰もいない。
そして思ってもみなかったが、久美子さんの姿もなかった。
いや違う。
いるはずだ、とわかった。
廊下を歩いているときから、そして資料室に入っても、
久美子さんの匂いがしている。
忘れられないフローラル系の甘い香り。