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こころから
第30章 直人15
 驚いた顔で反論しかけた久美子さんを、ぼくは制した。

「勝手なこと言ってるのはわかってます。
でも、久美子さんのことがほんとうに好きで、
久美子さんのことになると、
理性が働かなくなるくらい好きで好きで堪らなくて、
久美子さんの汗の匂いも味も知りたい。
もっともっと久美子さんのことが知りたい、です」

 変態だと思われる覚悟で言ったが、
軽蔑の表情をされるのが怖くて顔をあげられない。

「さっき言ってくれたこと、ほんとうなの?」

 どれのことかわからなかったが、ぼくは頷いた。

「久美子さんとふたりのときは、嘘は言いません」
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