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こころから
第37章 久美子18
 そんなだから、一回目が終わるともう私はくたくたになっている。
起き上がるのも億劫で、直人くんに口移しで水を飲ませてもらう。
深い深い満足感。
心地良い疲労。
全身が甘く痺れている。

 ベッドが揺れて、直人くんがトイレから戻ったと知る。
久美子さん、と私を呼ぶ直人くんの声を聞き、
ひとりにされて寂しかったと気づかされる。
なんだか恥ずかしくて、背中を向ける。
直人くんの声は、小さいころから慣れ親しんでいるみたいに私を安心させる。
彼がそばにいてくれると、私は無防備でいられる。

 直人くんが、私を後ろから抱き締めてくれる。
幸福な重み。
直人くんの温もり。
耳元で名前を呼ばれて、
首筋に吐息がかかって、
直人くんの胸とお腹が私の背中に密着していて、
なんだかこれ知ってるなー、とぼんやり思う。
関係が始まる前に見た幸せな夢。
あれがきっかけで、直人くんが本気で気になりだした。
あの夢が現実になっている。

私は直人くんに抱かれ、身も心もとろけきっている。
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