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こころから
第4章 直人2
「では坂井さん。娘をお願いします。
美香ちゃん、あんまり遅くならないようにね」

「わかってるー」

 ぺこりと会釈をして、牧原部長は駅の中に消えていった。
混乱して、まだ信じられていない。
牧原部長が目の前からいなくなると、
途端に夢でも見ていた気分になった。

 牧原部長が美香の母とは、思ってもみなかった。
そういえば、美香は牧原美香だったか、と今更思い出す。
美香、としか呼んでいなかったので、牧原という名字に印象が薄い。
それにしても、あまりいない名字なのに、
牧原部長と美香を結びつけて考えたことがなかった。
言われてみれば、という感じだ。
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