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こころから
第5章 久美子2
 八時半過ぎに夫が帰宅して、聞かなくてもわかっていたけど一応、
ごはんは? と聞いてみた。
予想とぴったり同じ返答がきて、
これまた予想通りに冷蔵庫からヨーグルトを出して食べ、
次にトイレだなと思ったらやっぱりトイレに入り、
トイレから出てくる前に着替えを用意してあげていると、
夫はトイレからそのままお風呂に行ったようだった。

 ざばー、とか、かこーん、とか、
お風呂から響いてくる音が、私は好きだ。
すごく平和な感じがする。
きっと私は今、幸せなんだろうな、と思う。
これ以上を望むのは欲張りなことなのだ。

「ただいまー」

 九時前に、美香帰宅。
門限を決めているわけではないけど、仕事の日以外は、
美香はいつもちゃんと九時までに帰ってくる。
彼、坂井くんも娘を大事に思ってくれているのだと思うと嬉しい。
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