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こころから
第15章 久美子7
 美香からラインが届いたのは帰宅してすぐだった。
友達のところに泊まってくると言う。
昔からよく聞く女の子の名前だった。
美香が嘘を言っているとは思いたくないけど、
でもほんとうは、一緒にいるのは坂井くんなんじゃないかと思ってしまった。

 そうなってくると、坂井くんと昼食のときに楽しかったけど、
そう思っていたのは私だけだったかも、と思い始めてしまう。
上司の誘いなので無下に断れなかっただけかも。
おばさんと並んで昼食なんて冗談じゃない、って思っていたかも。
会社で私を見ている気がしたけど、
そうじゃなくて私の後ろの壁に掛かっている時計を見ていただけかも。
悪いほうに転がり始めた思いは、止まることなくどんどん落ちていく。
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