この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
こころから
第2章 直人1
牧原家とは、ずいぶんと縁が深いようだ。
世間は狭いとも思った。
牧原美香と合コンで出会い、意気投合し、付き合い始めた。
美香は三つ年下で、人懐っこい笑顔が魅力的な女性だ。
淡い栗色の髪でショートボブがよく似合っている。
合コンのあと数回デートを重ね、ぼくのほうから交際を申し込んだ。
彼女はそれを待っていたように、にっこり笑って頷いてくれた。
交際は順調だった。
互いのことを話し合ううちに、彼女に兄がいることを知った。
ぼくと同じ年だというので、名前を聞いて驚いた。
兄の正孝は小中学校の同級生だったのだ。
正孝は背が高くて均整のとれた体つきをしていたが、運動が苦手だった。
その代わりに成績がよく、高校は有名な進学校に進んだ記憶がある。
嫌なやつではなかったが、気が合いそうなタイプではなかったので、
そんなに話をした記憶もないくらいだった。