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こころから
第17章 久美子8
坂井くんには今日、助けてもらった。
あのまま書類を提出していたら、
会社にかなりの損失を出してしまうところだった。
ベッドには十分な広さがある。
助けてもらっておいて、恩人をほったらかしにしておいていいのか。
私のチェックインを見届けて、行くあてもないだろうに、
振り返ることなくホテルを出ていく後ろ姿が、
さっきから何度も目の前にちらついている。
スマホを手にとり、ラインに、嘘が下手ね、と打ち込んだ。
でも送信ボタンを押すことがどうしてもできない。
美香に悪い。
夫にも悪い。
だいたい坂井くんも、
きっとこんなおばさんと一緒の部屋で寝るなんて望んでない。
あのまま書類を提出していたら、
会社にかなりの損失を出してしまうところだった。
ベッドには十分な広さがある。
助けてもらっておいて、恩人をほったらかしにしておいていいのか。
私のチェックインを見届けて、行くあてもないだろうに、
振り返ることなくホテルを出ていく後ろ姿が、
さっきから何度も目の前にちらついている。
スマホを手にとり、ラインに、嘘が下手ね、と打ち込んだ。
でも送信ボタンを押すことがどうしてもできない。
美香に悪い。
夫にも悪い。
だいたい坂井くんも、
きっとこんなおばさんと一緒の部屋で寝るなんて望んでない。