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こころから
第18章 直人9
「こっちこないで」

 小さく、でも強い口調で牧原部長が言った。

「ま、牧原部長……」

 手を伸ばしてもうすぐ触れるというところで、
牧原部長はするりと身をかわして逃げてしまった。

「やめて。自分が何しようとしてるか、わかってるの?」

「わかってます。こんなことしちゃいけないって。
でももう我慢できなくて。どうなってもいいって言うか……」

 その気になれば、突き飛ばしてでもベッドに押す倒すことができる。
でもさすがにそれはだめだ。
牧原部長が本気で嫌がっているなら、
自害してでも自制する。
でもそうは思えなかった。
牧原部長も理性を保とうと無理をしているように思えた。
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