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言葉に出来ない
第2章 これって好きってこと?〜美由
「電話しても良いかな?」


確かに高木先生、そう言ったようだったけど、
ヒヨドリのことに気を取られていたし、
聴き間違いだったのかもしれない。

だって、昨日も今日も、
電話、来なかったもの。


退院の時に持ち帰った荷物を整理しながら、
小さく溜息をついた。


甘いモノを一緒に食べたいようなことを言っていたような気もする。。
高木先生、本当に甘いモノ、お好きみたいで、
朝食にご一緒した時も、
あんぷさんきら、御相伴した時も、
凄く美味しそうに召し上がっていた。

診察の時は、
あんなに恐いお顔なのに!


そう思ったら可笑しくて、
クスっと笑ってしまう。



「美由さん?
どうかしたの?」と、お祖母様に言われて、

「いえ。
なんでもありません」と、
少し澄ました顔で答えて、
お洗濯を抱えて洗濯室に持って行った。



「まあ!
お嬢様!
わたくしがやりますので!」と、
慌てて荒井さんが飛んでくるから、

「ありがとう」と手渡した。



この1週間、アトリエに入っていなかったことが気になって、

「荒井さん、ちょっとアトリエでお仕事してますね?
お祖母様のこと、宜しくね?
何かあったり、
お祖母様がお呼びになるようならすぐに知らせてね?」と言って、
カールを連れて中庭を横切ってアトリエに向かった。


ここは、荒井さんも入らない私だけのスペース。
活けていたお花は、
元気がなくなっていて、
枯れているものもあった。


「ごめんなさいね?」とお花に呟いてから、
手入れをしたら、少しさっぱりした気持ちになった。


持ち歩いていたノートパソコンをバッグから出して、
起動させてからメールをチェックする。

仕事のメールに混ざってひっそり届いたメールの送信元のアドレスを見て、少なからず驚く。


takagi.ryohei@

で始まるアドレスは、
高木先生?

少し震える手でクリックして、
本文を開いた。


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