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言葉に出来ない
第2章 これって好きってこと?〜美由
中庭を横切って母屋に戻ると、
お祖母様はリビングでのんびり刺繍をしていた。


すぐ横にカールが横たわっていて、
私がお部屋に入るとゆっくり立ち上がって尻尾を振った。


「あら。
思ったより早かったのね?
おデートだったのかしら?」と言われて、
少し頬が紅くなる。


「いいえ。
夕食をご一緒しただけです。
病院でお祖母様を診てくださった高木先生と…」


「あら?
偶然お会いしたの?」


「メールでご連絡いただきました。
遅いランチをご一緒する筈でしたが、
緊急オペが入ったようで…」


「そう。
まあ、お医者様は仕方ないわよね?
送っていただいたの?」


「はい」


「お寄りいただけば良かったのに?」


「でも、遅い時間でしたから…。
次はお誘いしますね?」


「次って、明日かしら?
さ。
そろそろ休みますね。
美由さんも早くお休みなさい?」と言って、
お祖母様はゆっくり立ち上がった。




自分の部屋に戻って、
バスタブにお湯を張ってゆっくり浸かる。

髪を乾かしながら、
短くしたら物凄く時間が短縮されたことに驚いてしまう。


鏡をぼんやり見ながら、

「1日でも早く会いたかった」と言った高木先生の顔を思い浮かべてみる。





それって、
好きってことなのかしら?



まさかね?



だって、会ったばかりだし、
お互いのこと、何も知らないのに。



可愛いっていうのも、
コドモっぽいとか、
背が小さくて物理的に可愛いってことよね?



そんなことを考えながら、
明日の朝は…ジャージもパンツも持ってないから、
いつもの格好で、公園に行こう。



そう思いながら、
ベッドに横たわった。
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