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唐草の微睡み
第1章 はじまりの日
長い長い歴史の中で、今は忘れ去られた西の帝国。
広い大陸の西と東を結ぶ絹の道のほぼ中間に位置した、交易の国。
交易によってもたらされる富や最新の技術、豊富な作物が収穫できる気候の良さに加え、この大陸では珍しい四季のある国で、市街地には美しい自然が広がっていた。
そんな豊かな国を狙う隣国との争いは、ここ150年ほどの間、絶えず続いていたが、15年前の戦を最後に近年は国境近くで小さな小競り合いが起こる程度となっていた。
人々は、平和に過ごしていた。
そんな帝国の皇帝である龍星は、去年亡くなった父に代わり即位したばかりだった。
少し傲慢なところはあるが、目鼻立ちの整った美しい顔と、武芸で鍛えた逞しい身体。
どんな女性でも、龍星を一目見たら心を奪われずにはいられなかった。
後宮はあったが正妃はおらず、一体誰が龍星の后におさまるのかと、宮廷でも街でも人々の話題となっていた。
近々先帝の喪が開けるため、龍星の正妃も間もなく公になるだろうと言われていた。
年頃の娘がいる有力者達は、何とか自分の娘をと考えていたし、すでに後宮いる女性達も、なんとか皇后の地位に収まろうと様々な画策をしていた。
広い大陸の西と東を結ぶ絹の道のほぼ中間に位置した、交易の国。
交易によってもたらされる富や最新の技術、豊富な作物が収穫できる気候の良さに加え、この大陸では珍しい四季のある国で、市街地には美しい自然が広がっていた。
そんな豊かな国を狙う隣国との争いは、ここ150年ほどの間、絶えず続いていたが、15年前の戦を最後に近年は国境近くで小さな小競り合いが起こる程度となっていた。
人々は、平和に過ごしていた。
そんな帝国の皇帝である龍星は、去年亡くなった父に代わり即位したばかりだった。
少し傲慢なところはあるが、目鼻立ちの整った美しい顔と、武芸で鍛えた逞しい身体。
どんな女性でも、龍星を一目見たら心を奪われずにはいられなかった。
後宮はあったが正妃はおらず、一体誰が龍星の后におさまるのかと、宮廷でも街でも人々の話題となっていた。
近々先帝の喪が開けるため、龍星の正妃も間もなく公になるだろうと言われていた。
年頃の娘がいる有力者達は、何とか自分の娘をと考えていたし、すでに後宮いる女性達も、なんとか皇后の地位に収まろうと様々な画策をしていた。