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あの海の果てまでも
第7章 秋桜の涙 〜新たなる夜明けへ〜
…絢子の長い、告解のような告白が終わった。

「…それは…まさか…!」

目の前の精悍で端正な礼也の貌は蒼ざめていた。
あの梁子と親子とはとても思えない正義感に満ちた清廉な眼差しだ。

「…母は、春馬と暁の関係を知っていたのですか?
それでは母が…暁を脅して別れさせたのですか⁈
何もかも、私の母の悪巧みだったのですね⁈」 
縣礼也は苦悩したように眉を寄せる。

けれど、絢子は力なく首を振る。
「…いいえ。お母様だけのせいではありません。
…私…私のせいです。
…私があの時、男爵夫人を止めることも出来たのです。
お二人は本当に愛し合っていらっしゃるから、私が諦めますと…。
それは私にしか出来なかったことのはずなのです。
けれど…けれど私はしなかった…。
男爵夫人がどんな手を使ってお二人を別れさせるか…薄々気づいていたのに…止めなかった…。
…私は…春馬様のお嫁様になりたかった…どんなことをしても…春馬様のお側にいたかった…。
…だから、止めずに…見て見ぬふりをしたのです。
春馬様が暁様とお別れになり…私にプロポーズしてくださった時も…真実を語らなかった…。
春馬様を騙して結婚していただいた…。
暁様が春馬様の為に身を引いて別れられたと、私は気づいていました。
けれど、それを春馬様には言わなかった。
言ったら私の元から去ってしまわれると思ったから…。
…だから…罰が当たったのです…。
嘘つきで卑怯な私に…神様は罰を下されたのです…」

堰を切ったように涙が止めどなく溢れ、絢子の白い頬を濡らした。


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