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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
浩藍はしなやかに立ち上がり、大理石のマントルピースの前に立った。
白い手をつと伸ばし、写真立てを取り上げる。
「…私がお茶を学び始めたのはアルフレッドのおかげです。
アルフレッドは、混血の私にしっかりしたアイディンティティを持たせてくれようとしたのだと思います。
中国と日本。
両方の文化を学び、身に付け、両国の血の誇りを持つように…と。
…お陰で私は中国も日本も好きになりました。
それまでは、後ろ向きな感情しか持てなかったのに…」
浩藍の白い指が、愛おしげに写真に映るテンガロンハットのハンサムな男の貌を撫でる。
暁は遠慮勝ちに、尋ねる。
「…あの…。
朱さんは、そのアルフレッドさんのことを…」
朱浩藍の優美な蓮のような美貌が暁を振り返る。
浩藍は寂しげに微笑んだ。
「…好きですよ。
でも、私の片想いです。
…私たちの間には、何もありません」
白い手をつと伸ばし、写真立てを取り上げる。
「…私がお茶を学び始めたのはアルフレッドのおかげです。
アルフレッドは、混血の私にしっかりしたアイディンティティを持たせてくれようとしたのだと思います。
中国と日本。
両方の文化を学び、身に付け、両国の血の誇りを持つように…と。
…お陰で私は中国も日本も好きになりました。
それまでは、後ろ向きな感情しか持てなかったのに…」
浩藍の白い指が、愛おしげに写真に映るテンガロンハットのハンサムな男の貌を撫でる。
暁は遠慮勝ちに、尋ねる。
「…あの…。
朱さんは、そのアルフレッドさんのことを…」
朱浩藍の優美な蓮のような美貌が暁を振り返る。
浩藍は寂しげに微笑んだ。
「…好きですよ。
でも、私の片想いです。
…私たちの間には、何もありません」