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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
「…アルフレッドは、私のことを大切な弟のように思ってくれているだけです。
ユージンから預かった大事な宝物だからな…と、よく笑って私の頭を撫でておりました」
「…朱さん…」
ふっと、浩藍は表情を息を呑むほどに艶めいたものに変えた。
「…私はね、だから清いままなのですよ、暁さん」
「え?」
「私は肉の交わりを知りません。
男も女も」
さらりと言われ、暫くしてようやく言葉の意味を知る。
暁は白い頬を微かに赤らめた。
「…兄は口づけしかしませんでした。
私がまだ子どもでしたから。
子どもを意のままにするような野蛮なひとではありませんでしたからね。
紳士な、理性のあるひとでした。
…だから、私は兄の甘い口づけの中だけに未だに封じ込められたままです…。
清い身体と言えば聞こえは良いですけれど…まだ青い果実のまま、身体は大人になり…叶うことのない恋に悩ましく心乱れる日々です…」
赤裸々な告白も、決して嫌らしくもなく淫らでもない。
けれど、浩藍の微かに薫る密やかな色香に、暁はどきりとさせられた。
…肝心な相手は…
浩藍は手の中の愛おしい男を見下ろす。
「…何年留守にしようと、俺は必ずここに帰る。
お前が俺の光り輝く灯台だからな…と言い残し、いつもふらりと旅に出るのです…」
浩藍は嬉しそうな、寂しそうな…けれど煌めくような愛の滲んだ美しい笑顔を暁に見せた。
「勝手なひとですよ、まったく」
ユージンから預かった大事な宝物だからな…と、よく笑って私の頭を撫でておりました」
「…朱さん…」
ふっと、浩藍は表情を息を呑むほどに艶めいたものに変えた。
「…私はね、だから清いままなのですよ、暁さん」
「え?」
「私は肉の交わりを知りません。
男も女も」
さらりと言われ、暫くしてようやく言葉の意味を知る。
暁は白い頬を微かに赤らめた。
「…兄は口づけしかしませんでした。
私がまだ子どもでしたから。
子どもを意のままにするような野蛮なひとではありませんでしたからね。
紳士な、理性のあるひとでした。
…だから、私は兄の甘い口づけの中だけに未だに封じ込められたままです…。
清い身体と言えば聞こえは良いですけれど…まだ青い果実のまま、身体は大人になり…叶うことのない恋に悩ましく心乱れる日々です…」
赤裸々な告白も、決して嫌らしくもなく淫らでもない。
けれど、浩藍の微かに薫る密やかな色香に、暁はどきりとさせられた。
…肝心な相手は…
浩藍は手の中の愛おしい男を見下ろす。
「…何年留守にしようと、俺は必ずここに帰る。
お前が俺の光り輝く灯台だからな…と言い残し、いつもふらりと旅に出るのです…」
浩藍は嬉しそうな、寂しそうな…けれど煌めくような愛の滲んだ美しい笑顔を暁に見せた。
「勝手なひとですよ、まったく」