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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
「で、何処に行ってたの?
こんな遅くまで」
ようやく表情を和らげ、尋ねる大紋に
「あのね、実はね、春馬さん…」
話を始めようとした時、奥のドアが開かれ、家政婦のミセス・マクレガーが姿を現した。

「おやまあ。アキラさん。
無事にお帰りで何よりですわ。
Mrダイモンがそれはそれはご心配されてましたのよ」

「すみません。ミセス・マクレガー」
詫びる暁に、ミセス・マクレガーは温かく笑いかける。
「Mrは貴方をそれはそれは大切にされているのですから、お気をつけてね」
…そして…

あ、そうそうと、のんびりとした口調で暁に一通の国際郵便を手渡した。

「貴方宛てのお手紙ですよ。
日本から。
…差出人は…貴方と同じファミリーネームみたいね。
お隣のテラスハウスに間違って届いていたのですって。
しかも一ヶ月も前にね。
お隣は気ままなミステリ作家さんでしょう?
彼はずっとパリにいて、今日帰国して郵便を見つけてここに届けに来たって訳。
全く、最近の郵便配達人も適当よねえ。
…あら?アキラさん?
どうかされたの?」
ミセス・マクレガーは不思議そうに暁を見つめる。

震える手で手紙を裏返す。

…Reiya・Agata…
懐かしい兄の美しい筆跡だ。

暁は叫んだ。
「…兄さん!」

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