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あの海の果てまでも
第4章 新月の恋人たち 〜新たなる運命の扉〜
そっと扉を開けると、廊下の壁に凭れかかるようにして大紋が佇んでいた。
廊下の洋燈に照らされた腕組みをしているその表情は、どこか心細げに見えた。

「…暁…」
大紋は暁を見つめ、大股で近づいて来た。

「…ごめんね、春馬さん。
ひとりにして…なんて言って…」

素直に詫びる暁に、春馬は静かに微笑む。
「…いいさ。
礼也からの手紙だからな。
…ずっと待っていたんだろう?」
「…うん…」
「…礼也は?なんだって?」
「…色々書いてあったけれど、僕を愛している…て。
…僕に会いたい…て…会いに来る…て…」
暁は泣き笑いのように、その美しい瞳から涙を流した。

「…そうか」
大紋が優しく暁を抱き寄せる。
「…兄さん…許してくれた…」 
大紋の逞しい肩口に頬を押し当てる。
「…良かったね」
「…兄さん…ふたりで幸せになれ…て…」
「…そうか…。
…やっぱり礼也だな。
あいつは心底優しい」

大紋がきつく暁を抱き竦める。
そうして、ぽつりと苦しげな口調で切り出した。

「…暁…。
帰りたくなったか?
日本に…」




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