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誰も知らない君の顔
第8章 絡みつく・・・
2泊3日で社会人として、一條の社員としての心得等を学ぶ新人研修会。かなりハードな内容で毎年のように途中リタイア、退社する者もいる。

そこで俺たちは出逢った。

「会長の孫・・・社長の娘ってだけで取り囲まれて・・・一人になる時間もなかったんです」

「あぁ・・・知ってる。常に囲まれてたもんな」

「冬吾さんだけでした・・・笑いかけるだけで話し掛けてくれなかったの」

つーか・・・話し掛けれる状態じゃなかっただけなんだけど・・・。

「あれ以来・・・ずっと気になって、冬吾さんの事・・・」

恥ずかしそうに髪を耳に掛けた。

「だから・・・今回の事も・・・」

そう言う事か・・・。

でももう遅いよ・・・。

「結・・・」

立場が違い過ぎる。金のある男と結婚させようとする彼女の親。それを考えると貧乏人の俺が間に入れる隙間は1㎜もない。
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