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第7章 父　健太郎

由里子と初めて肉体関係になったのは
今年の春の事だった。

それまで不倫をしていたパートタイマーの君枝が
旦那の転勤に付いていくとかで
あっさりと不倫関係に終止符を打たれた。

妻の綾乃とは
娘の聡子が産まれてから
一度も夫婦生活をしていない。

綾乃を嫌いになったわけではないが
妻と言うよりは
どうしても綾乃を聡子の母として見てしまう。

綾乃自身も育児に終われて
女を忘れてしまったかのように
化粧もろくにしなくなったものだから
愛情がどんどんと薄くなっていった。

かと言って
健太郎の性欲が失くなったわけではない。
健太郎の性欲は妻である綾乃を捨てて
他の女に注がれていった。

いっときの性欲処理ならば
商売女で十分だったが
それでは健太郎の財布が破綻してしまう。

そこで導きだした答えが「不倫」だった。

幸いにも健太郎は
小さいながらもスーパーの店長をしていたので
パートタイマーの主婦に目をつけた。
彼女たちは時給の昇給をチラつかせると
面白いように体を開いた。

そのような火遊びを重ねて
由里子が六人目であった。

彼女は実に奔放な女で
健太郎はどんどんと彼女に惹かれてゆき
挙げ句の果てに不倫という関係を忘れて
真剣に彼女を愛し始めていた。