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第1章 ロストバージン

「わかったから！
付き合ってあげるから顔を上げてよ！」

まさか学校の廊下で
告白されるとおもっていなかったので
私は慌ててOKをしてしまいました。

「ありがとう！！」

宗一は感極まって私にハグをしてきた。

私たちの成り行きを
陰から見守っていた宗一と仲のいい男友達が
「宗一！やったじゃん！！」と飛び出してきた。

「お前のお陰で勇気が出たよ！
俺も今から美幸にコクってくるぜ！！」

一人が小躍りしながら廊下を駆け出して行く。

『こいつら、夏休みを前に浮かれているわ…
何の悩みもない能天気な人たちだわ』

「用件はそれだけ？
じゃあ、私、急いでいるから帰るね」

はしゃぐ宗一たちを置き去りにして
私は下足室へ走り出した。

「待てよ！聡子、一緒に帰ろうぜ！」

私の後を、慌てて宗一が追いかけてきた。

「なぁ！明日、プールに行こうぜ」

「ごめん、明日はムリ！」

「じゃあ、明後日は？」

「明後日もムリ！」

「それじゃあ…いつならいいんだよ？」

「当分ムリ！」

「はあ？何それ？
俺たち、付き合うんだよな？
OKしてくれたんだよな？」

そんなことを言いながら
何だかんだと私の家までついてきてしまった。

「じゃあね」とバイバイと手を振ると
宗一ったら今にも泣き出しそうな顔をした。