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貴方に染まる
第11章 XI
「何処」
「ごめ、ん…、保健室に──」
「すぐ行く」
一方的に電話を切り、気がつけば保健室に走り出していた。
前田と保健室にいるのか?
最悪な状況が頭をよぎる。
華の声も掠れていたし、途切れ途切れだったから不安しかなかった。
走って保健室まで来ると、入れ替わるように前田が出ていった。
「おい」
俺が声をかけると、前田は振り返って俺の顔を見た。
「華に付き纏うな」
華は俺の彼女だから近づくな、と威嚇したつもりだった。
でも前田は何も言わずに歩いて行ってしまった。
最後に見た顔は冷めた目で俺の威嚇なんて何も感じてないようだった。